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2012/12/24

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ヤマザキマザック美術館 ブロガーデー報告その4 海藻文花器

category - 日記
2012/ 12/ 24
                 



海藻文花器 エミール・ガレ


光の量が少ない場所で見ると、
陰鬱な、と表現してもいいような世界が広がっていました。

描かれているのは海の底。
この暗さは、ガレが見つめた死の世界の持つ暗さであったかと
見ていて息苦しくなるほどの迫力があります。




光の当たり方で、こんなにも作品の表情が変わります。

暗く冷たい海の底は絶望の支配する世界ではありませんでした。
命のない静寂でなく、命が息づく神秘の世界でした。
母なる海、と言いますが、海は生命の根源です。

一見グロテスクとさえ言える海の底の景色、
そこに生命が続いていくことを、感じさせます。
前回ご紹介した蜻蛉文脚付杯 (↓画像は下の部分のアップ)にも
それは充分感じますが、作品の雰囲気はずいぶん違いますね。




死を前にしたガレは、どんな思いでこれらの作品を作ったのか。

晩年のガレの作品から私が一番感じるのは、
苦しみぬいた末にたどり着いた、気高い境地です。

ガレは58歳の若さで亡くなっています。

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エミール・ガレは父親の会社を継いだ、実業家でもありました。
高級なガラスや陶器を販売する会社です。

ガレの場合は、普通の芸術家が1つずつ作品を作り上げるのと違い、
会社の商品として、スタッフ達を使って、作品を作りました。

芸術家が1から10まで自分で作品を作り、その作品は世界に1つ。
ガレの作品はそういうものではありません。
こういうものを作りたい、とガレが企画し、
会社の職人たちが、それぞれ自分の得意な分野の仕事をして、
分業でガレの意図した品を作りだしていました。

ガレ社の製品は素晴らしい!と世間で言われ、
商売上の利益をきちんと上げていくこともガレの腕にかかっていました。
新しい作品を作るのには、時間もお金もかかります。
かかった費用を回収し、職人達を養うだけの利益をあげ、
新たな作品を作るための予算を稼がなければ、
どんなに素晴らしい作品を作っても、実業家としては失格です。

ガレは、ナンシー派のリーダーとしても活躍していました。
たくさんの重責を背負っている中での白血病の宣告は、
どんなに辛いものであったかと思います。


その5に続きます。
多分、その5で終わると思います。(笑)
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コメント

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No title
エミール・ガレは夭折の陶芸家としか知識しかなかったのですが、このような側面があったのですか。
なんか昨日ワカメをいただいたのもなんかの因縁かも。

毎日曜日は焼酎飲み曜日。
毎月曜日は訪問介護入浴の日って決まっています。
焼酎に生ホルモンって合いますかですって?
私は何でも食いですので、無理にでも合わせます。
No title
ガレって名前は知ってたのですが、どのような生き方をした
芸術家だったかは存じませんでした。
解説有難うございます。

専門的なことは分からないけど、気高さを感じます。
苦しみは美しい芸術を生みますね。

ナイス☆彡
No title
dkさんへ

どうぞこれからワカメを召し上がる時は、
ガレのことを脳裏に浮かべてくださいね。(笑)

毎日曜日は焼酎飲み曜日なんですね。
焼酎派なんですね。
何でも食いというのは、好き嫌いがほとんどないということ?
素晴らしいですね。
No title
ねえねさんへ

ガレの会社は彼の死後、経営がうまく行かなくて、なくなってしまったそうです。
顧客はそれまで、ガレ社の製品に芸術性を求めていたわけで、
ガレの死去によってそれがなくなると、存続が厳しかったのでしょうね。

ガラスの器に作者の命を感じてしまうような経験は、私にはかつてないことでした。
すごい経験をさせていただいたと思います。
ねえねさん、いつも真摯に読んでくださってありがとう。