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「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ その3

category - 日記
2017/ 11/ 20
                 
「わたしを離さないで」のカセットテープをある中古品の店で売っていたのをキャシーが見つけ、
それをトミーが買いました。トミーはずっとキャシーの失くしたテープが気になっていたのでした。
そして「猶予」の噂の話をキャシーに始めました。

ヘールシャルムでは誰もそんな話はしていなかった。
でも噂が本当だとすると、つじつまが合うことがある、というのです。

例えば展示館。絵ややきもの、詩やエッセイといった生徒の作品で、
優秀なものは校外に持ち出されるのだが、それはなぜか。
先生が口を滑らせたことがある。絵も詩も、作った人の魂を見せると先生は言った。
愛し合った2人が、一緒に暮らす時間の猶予を願い出た時、それが本当かどうかわからない。
そこで、生徒の小さい頃からの作品があれば、その生徒の人間性の判断材料になる。
自分の考えをトミーはキャシーに話しました。

ヘールシャルムでは、先生たちは繰り返し、創造性が大事だと言っていて、
絵や詩の上手な生徒は鼻が高く、出来の悪い生徒は真面目に努力していないと怒られました。
絵の苦手なトミーはそれが苦痛でしたし、ルーシー先生が、絵は描かなくてもいいと
言ってくれたことは、当時のトミーには大きな救いでした。

でも猶予の話が想像通りなら、自分はチャンスをどぶに捨てたんだとトミーは言います。
絵の下手なトミーでしたが、小さく書けばそうでないことがわかってきました。
まだチャンスがあるかもしれないと、トミーは絵を描き始めていたのです。

この後、キャシーは介護人になる決心をして、コテージを去ります。
介護人は、臓器提供した提供者の世話をする仕事です。
3回ほどの臓器提供で、死ぬ提供者が多いですが、
2回でも死ぬケース、4回目を果たすケースもあります。

提供者は不安と苦痛でいっぱいですし、介護人は長時間その姿を見守るので、
睡眠時間も細切れで、精神的にも肉体的にもストレスの大きい仕事です。
提供者の不安と苦痛は、全てのクローン人間が味わうものです。
介護人以外の仕事にはつけませんし、介護人を辞める時は提供者になる時です。

ある場所で、キャシーは同じ介護人をしているかつての旧友ローラに会います。
いたずらっぽい笑顔と、止まらない冗談が印象的な少女だったローラは、
疲れはてていて、昔の面影はありませんでした。

ルースの最初の提供がひどくて、介護人ともうまくいっていないので、
仲が良かったキャシーに、ルースの介護人をしないのか聞かれました。

また、ヘールシャルムが閉鎖されてなくなってしまったことなどを語り合いました。
土地も建物もホテルチェーンに売却されたようです。
キャシーはその話を、ローラに会って話し1年くらい前に聞いていました。

ローラに会ったキャシーは、ルースの介護人になることを決めました。
ルースは、座礁した船が見に行きたいと言います。
船のある場所は、トミーがいる所の近くでした。
トミーは2回目の提供を終えていました。
カップルであっても、提供が別々の地区で、それきり別れになるのはよくあることでした。
キャシーはトミーに連絡をして、ルースと3人で船を見に行きます。

帰り道で、ルースはキャシーに謝ります。
私がやった最悪のことは、トミーとカップルになるのはあなたのはずだったのに、
わかりながら邪魔し続けたことだと謝り、許してほしいけど許されることとは思わないと言います。

そして「猶予」の話を持ち出します。
とても愛し合っていることが証明できるカップルには、提供を猶予されることがあるという噂話です。
ルースは、マダムの住所を調べ上げていました。
キャシーは泣いて遅すぎると言いますが、ルースはそんなことはないと言い張り、
マダムの住所の書いてある紙を、トミーに渡します。

船を見に行く外出の後、キャシーとルースの間に長いことあった
ぎくしゃくした感じは消えていました。
ルースはキャシーに、トミーの介護人になることを勧めました。
そして2回目の提供が始まり、今度は乗り切れないと、誰の目にも明白でした。
激しい苦痛の中にいる提供者には、一瞬、頭脳が明晰になる瞬間がくるそうです。
その瞬間に、キャシーは、ルースに、トミーの介護人になることを告げました。
その声は聞こえなかったかもしれないけれど、2人の視線が結び合ったそのとき、
お互いの思いが通じたという感覚がありました。

船を見に行ってから1年後、キャシーはトミーの介護人になりました。
トミーは3回目の提供を終えたばかりでした。


このブログはもう一度本を読み直しながら書いています。
時間がかかるので、まだ終われません。その4に続きます。


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コメント

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No title
とても解り易いです。がんばって~。期待して待っています。
No title
ミセスRさんへ

クリスチャンの方はこの小説にどういう感想を持たれるのかな?
読んでくださってありがとうございます。
No title
そうですねぇ~
クリスチャンと言っても、私の場合は「落ちこぼれクリスチャン」ですから。。。(笑)
でも、起こらないとは限らない、、そんなリアルな思いを持ちました。
枕を赤ちゃんに見立てて抱きしめて歌い踊る、、、みたいな場面は胸が締め付けられました。
こんな社会になったら大変です。
でも人間は悪魔と紙一重ですし、天使とも紙一重です。
間違った方向へ人類がいかないことを祈るばかりです。

それに、臓器を取り換えてまで、命を長らえようとするのは、虚しい、と誰もが気づく時が来るのではないでしょうか?私は個人的にはそう思っています。
死を受け入れるという事も、大事な過程ではないでしょうか?人間が人間に成る為に。
No title
ミセスRさんへ

落ちこぼれクリスチャンだなんて。(笑)

人間は悪魔と紙一重ですし、天使とも紙一重とおっしゃるのは本当だと思います。
かつては奴隷制度もありましたが、なくなったように、
非人間的なシステムが、少しずつでもいい、なくなっていくといいのですが、
なかなかそうはいかないですね。

死を受け入れるという事も、大事な過程。
いい言葉ですね。ありがとうございました。