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2015/08/31

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悲劇の姉弟、大伯皇女と大津皇子の句~万葉集から

category - 日記
2015/ 08/ 31
                 
たまには万葉集などいかがでしょうか。

奈良旅行に行く予習に買った、里中満智子さんの歴史漫画「天上の虹」で
奈良時代に興味を持ち、万葉集についての本まで買っちゃったわ。
こちらは漫画ではないのですが、里中満智子さんの挿絵がついております。(笑)




大伯皇女(おおくのひめみこ)の句を2首、ご紹介します。

わが背子を大和へやるとさ夜ふけて
暁露にわが立ち濡れし              大伯皇女

ふたり行けど行きすぎかたき秋山を
いかにか君がひとりこゆらむ          大伯皇女

大伯皇女は、天武天皇と大田皇女(おおたのひめみこ)の間に生まれた女性です。
この句は、謀反の罪で処刑が迫っていた弟、大津皇子が
1人で姉である大伯皇女に会いに来た際に、帰りを見送る歌で、
背子は弟を示しています。
飛鳥から伊勢までの道のりは、当時、往復5日間かかったと言われています。

母親の大田皇女は天武天皇の妻であり、天智天皇の娘であり、後の持統天皇の姉。
大伯皇女と大津皇子(おおつのみこ)を産みました。
この2人は、両親が天皇家の人間ですから、当時の血筋としてはサラブレッドです。

当時は天皇になるためには、両親が天皇家の人間であることが必要でした。
優秀な人材で、父親が天皇であっても、母親が天皇家の女性でなければ、
天皇にはなれませんでした。

本来なら、大津皇子は、天皇になれたはずの血筋であり、能力も高く評価されていました。
しかし、母親の大田皇女が早くに亡くなり、後ろ盾を失ってしまいます。

大伯皇女は、13歳で、神に仕える斎宮として、伊勢神宮に送られてしまいます。
斎宮となると、一生を神に仕え、結婚することも出来ません。

母親を早くに亡くしたものの、父親の天武天皇がいましたが、
その天武天皇が崩御されると、もう大津皇子の強い後ろ盾はありませんでした。

天武天皇の崩御が9月9日。
9月24日に大津皇子の謀反発覚。
大津皇子は10月2日に逮捕、10月3日に処刑されました。

10数年ぶりに会った弟は、処刑が待っている身でした。
戻れば殺されてしまう弟を見送ることしかできない、
孤独だったに違いない大伯皇女の胸の内を想像すると、
ただただ切ない思いになります。


大津皇子は大胆な性格だったようで、こんな句があります。

大舟の津守が占に告らむとは
まさしに知りてわがふたり寝し  大津皇子

占い師を囲んで、大津皇子を含む何人かで、占いをしてもらっています。
誰かが、恋多き石川郎女(いしかわのいらつめ)は、草壁皇子の恋人だが、
最近、新しい恋人がいるらしい、誰だろうかと占い師に聞きます。

占い師がその相手を大津皇子だと当てると、大津皇子は否定するどころか、
「占いに出るとわかっていて、私たちは逢ったし、寝たのだ」とまで言い切りました。
大胆に、占いはその通りだと宣言するのです。それが上の句です。

草壁皇子は次期天皇とされていた大津皇子のいとこです。
(母親同士が姉妹で、天智天皇の娘)
大津皇子が次期天皇の恋人を奪ったという噂は、
瞬く間に広まったことでしょう。

大名児(おおなこ)を彼方野辺に刈る草の
束の間もわれ忘れめや             草壁皇子

おおなこというのは、石川郎女のことで、これは恋人が去っていくのを嘆く
草壁皇子の句として、万葉集に載っています。

恋の勝利者である大津皇子と石川郎女の句も載っています。

あしひきの山のしずくに妹待つと
わが立ち濡れぬ山のしずくに         大津皇子

我を待つと君が濡れけむあしひきの
山のしずくにならましものを          石川郎女

会う約束をしていた二人でしたが、何らかの理由で、
石川郎女は来られませんでした。
山のしずくに濡れながら待っていたのだよと大津皇子が言えば、
その山のしずくになりたかったわと石川郎女が応える
余裕のある恋を楽しんでいる男女の句です。

この句を、草壁皇子の母親が読んだら、殺したくなったかも・・・。
やっぱりひ弱で情けないねぇ、草壁皇子は・・・なんて陰で噂も上がったことでしょう。
我が子を天皇にする上で、大津皇子は、邪魔すぎる存在だったでしょう。

奈良時代って、はるか大昔のことですけれど、
人間のやっていることって、そんなに違わないのかも。

時代を超えて、大伯皇女と大津皇子きょうだいに思いを馳せてみました。
最後までお付き合いくださった奇特な読者様、ありがとうございました。(笑)

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