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2015年10月08日

        

天童荒太 「悼む人」  その1

category - 日記
2015/ 10/ 08
                 
長くなりそうなので、その1にします。
明日、シュウトメちゃんが帰ってくるのに、何をしているのであろうか。
一種の現実逃避?(笑)

賢者テラさんのブログに、映画の悼む人を見てきた感想が書かれていて、
興味を惹かれたので、本を買ってきました。(ブックオフで)

映画を見る予定の方で、原作やあらすじを見ないで映画を見たい方は、
ここから先は読まないでくださいね。



その1は「悼む人」の、重要な登場人物の紹介をあらすじを交えながら書こうと思います。


週刊誌の特派記者、薪野

残忍な殺人や男女の愛憎がらみの事件の記事が得意で、
人間の醜さや虚飾に焦点を当て、性描写も多く、
扇情的な興味を引く記事を書かせたら抜群、
エログロの薪野ということで「エグノ」と陰で呼ばれる男でした。

薪野は取材中、「人の死んだ場所をうろつく若い男」の存在を知ります。
その若い男は、坂築静人という名でした。
新聞やラジオで事故や事件で人が亡くなった情報を得て、
亡くなった人を悼む旅を続けていると言います。

薪野はわけがわからないと思いつつも興味を持ち、
少しの間、静人の悼む旅に付き添います。
その間の会話で、静人の悼む旅が5年にもなること、宗教がらみではないこと、
亡くなった人が、誰に愛され、誰を愛し、どんなことで感謝されているかを出来れば調べ、
その人が、たった一人の特別の存在だったことを、
自分の胸に刻もうとしていることなどを知ります。

5年もそのような生活をしているというのはあまりにも奇異なことですが、
薪野と別れてからの静人は、淡々と悼む旅を続けます。



悼む人、静人

6歳の静人は台風の翌日、ヒヨドリのひなが死んでいいるのを見つけます。
母親の巡子が、巣から落ちて死んだので、もう巣には戻れない、
お墓を作って埋めてあげようと言い、二人でお墓を作って祈りました。

幼い静人は、この雛が生まれた時のことを知っている、と言います。
でも今はお墓に眠っている…そのことを知っているのは、
僕とお母さんとこの子のお父さんとお母さんだけだね、と言う静人に、
巡子は、「静人がしっかり覚えておいてあげないとね」と言います。
静人は泣き出して、どうしたらずっと覚えていられるの?と聞き、
心臓に手を当てて、この子が生まれて、ちゃんと、生きていたことを
ぼくの中に入れておくからね、と言います。

この出来事の3年前、静人の祖母が亡くなりました。
亡くなる3日前、「ばあば、なにほしい?」と幼い孫に聞かれた祖母は、
ペンと紙を自分の息子に渡されて「おぼえてて」と書きました。
幼過ぎて、意味がわからない我が子に、巡子が説明します。
「おばあちゃんのこと、覚えててって。
いつまでもおばあちゃんのこと、覚えていられる?」
「うん、覚えてる」静人は答えました。

静人が小学生になったある日、祖父が亡くなりました。
激しいショックを受けた静人を心配して、巡子は自分の兄の話をします。
(少し先で詳しく書きます)

静人は快活な青年に成長し、大学卒業後は、医療機器メーカーに就職しました。
親友が医者を目指していて、同じ高校に行こうと静人を誘い、
猛勉強して、その友人と県内有数の進学校に入った彼は、
医師となる友人を支えられる仕事だと大喜びしていました。

医療機器メーカーの営業の仕事の一環として、
病院でのボランティア活動があり、静人はだんだんと
小児病棟のボランティアに深くかかわるようになりました。
会社の方針では、営業は顔を広げるのが仕事なので、
1つの場所に深く関わらないことになっていましたが、
静人は、子供たちと親しくなり、離れがたくなって、休みの日に小児病棟に通いました。

親しくなった子供たちは、病状が急変し、衰弱して、亡くなっていきました。
何人も見送るしかない彼の心は、辛い経験に乱れました。
社会人5年目に、静人は町中で、中年女性にお礼を言われます。
小児病棟で亡くなった子どものお母さんで、先日1周忌を終えたが、
ボランティアで遊んでいただいて子供がとても喜んでいたというお礼でした。
静人は、亡くなった子供たちの命日を覚えていない自分にショックを受けます。

あまりに辛い気持ちだったので、親友に相談しようとしましたが、親友は死んでいました。
医者になった親友は、38時間病院に詰めた後、自宅で入浴中に
寝入ってしまったらしく、溺死したというのです。
葬儀の席で、溺死した親友のことを、こんなつまらない死に方をするなんてと
話していた高校時代の同級生の言葉が許せず、ケンカをした静人でしたが、
その親友の命日を、仕事で忙しくしていて忘れてしまいました。
気が付いたときには、祭儀の時間をとうに過ぎていました。

傷付いてもろくなった静人は、その後、仕事中に過呼吸症候群で意識を失い、
精神的な疲れを指摘され、入院します。
1週間後、退院した帰り道に、静人は、ガードレールの小さな花束があるのに目を留めます。
それから、静人の「亡くなった方を悼む日々」が始まったのでした。



薪野の父母

薪野の父は重い病気で、死ぬ前に薪野に会いたがっており、
長年父と暮らしてきた父の愛人が、会ってやってほしいとよく電話をしてきます。
しかし、父親に恨みのある薪野は、会いに行く気になれません。

薪野の母は、函館の老舗旅館のお嬢様として育った、
カソリックの女子高生でした。
その女子高の教師としてやってきた父の子供を妊娠して結婚、
父は旅館の経営に口を出し始めて、親戚と揉めて、
一家で東京に出るも、早々に女を作って家に帰らなくなりました。
その後、実家の旅館が火事で焼け、寝込んだ両親の看病のため、
母は函館に帰ります。薪野は転校したくないと東京に残りました。
実家の両親の死後も、母は戻らずに、一人暮らしをして、
45歳で心不全で一人で亡くなっていたのを発見されました。

10年ぶりに母の墓参りをした薪野は、静人の悼む言葉を思い出し、
母は誰に愛され、誰を愛しただろうか、何をして感謝されただろうかと考えました。



静人の母、巡子

巡子は末期がんでした。
抗がん剤の効果も出ず、在宅でのホスピスケアを希望して退院しました。
しめっぽい退院などしたくないと、金髪のカツラに派手なワンピース姿で、
「マドンナよぉ。笑うと免疫力も上がるっていうし、元気のおすそ分け」と
おどけて笑顔で退院していくような女性。
退院は彼女の場合、治る医療の終焉なのだから、本当はもちろん怖いのですが。
生きている間に、息子の静人に会いたいのですが、静人は旅に出たままです。

巡子は子供のころとても病弱で、彼女が病気になるたび、お兄さんが、
「ぼくの持っているいのちの時間をジュンジュンのために使ってくださいって
神様にお願いしといたよ」と励ましてくれました。

そのお兄さんが16歳の時、陸上のトレーニング中に倒れます。白血病でした。
神様がお兄さんの願いを聞き入れてしまったんだ、と12歳の巡子は思います。
お兄さんにゆずってもらった時間を少しも無駄には出来ないという思いと、
わたしよりお兄さんが生きたほうがよかったのにという思いが巡子に残ります。



静人の妹、美汐

美汐は、従兄弟に紹介された男性と2年半も付き合っていましたが、
静人の件で、別れを切り出されてしまいました。

男性の親戚の1人が、見汐の実家を調べたところ、静人の存在がわかりました。
会社を辞め、5年も亡くなった人を悼む旅に出ていることから、
挙動不審者として任意同行、身元照会などがなされた事実がいくつかあることがわかり、
親戚と家族が集まった場で、結婚は許すわけにはいかないということになったのでした。

別れてから、美汐はつわりになり、調べたら、妊娠していることがわかりました。
家に彼を呼んで、静人のことを話して、わかってもらおうと考えて、彼を呼びました。
しかし、彼は兄と一緒に来て、言いにくいことはすべて弁が達者な兄が言いました。
要は、安全な病院と費用、手切れ金100万を用意した、と言いに来たのであって、
静人についての説明など、聞いても聞かなくても結果は決まっていました。
それを自分の口から言えないので、兄に言ってもらうために2人で来たのでした。
美汐は帰って!と叫び、同席した家族も美汐の従兄弟も2人を追い返します。

彼女は子供を堕胎する気はありませんでした。
おなかの中で育って行く命を慈しみ、母に生きていて欲しいと願い、
自宅で産む決意をして、助産婦さんを探してきます。




途中から悼む旅に同行する倖世

奈義倖世は、夫殺しの罪で服役し、懲役4年で出所した女性でした。
最初の結婚相手からひどいDVを受けていました。
偶然訪れた寺がDVの被害者のシェルターであったため、
保護され、離婚させてもらい、その寺の長男に求婚されて結婚します。

倖世は、今まで、誰も愛したこともなく、愛されたこともありませんでした。
両親は不仲で、毎日のように罵倒しあい、時には暴力を振るいあって、
彼女が6歳の時に離婚、母親がいやいや彼女を引き取ります。
再婚したかったのか、何人もの愛人を倖世に合わせますが、
38歳でくも膜下出血で亡くなります。

男性遍歴は重ねますが、好きになったことはなかった女性。
後でわかるのですが、初めて愛したご主人に、殺すように何度も迫られ、
彼に見捨てられることが怖くて殺してしまいます。

出所したのち、自分が殺した夫を悼む静人と出会い、
自分の生き死にの方向を見定められればと、静人に同行します。



倖世に自分を殺せと迫った夫、朔也

幼いころから優秀な子供で、東京に出て行きますが、
実家の寺が傾いていると聞き、戻って跡を継ぎます。
仏様の生まれ変わりとまで言われている、人気の高い僧侶でした。

彼の母親は、彼が5歳の時、男と駆け落ちしてしまい、
半年後、2人の心中したいが発見されました。
翌年、朔也の父は再婚し、弟が生まれました。

朔也は幼いころから神童と呼ばれましたが、本人はばかげていると思っていました。
学校の成績は記憶と思考に適した細胞の働きが機能したに過ぎないと。
他のことに関しても、冷めた視点でくだらないと感じていました。
とにかく、虚しくてたまりませんでした。
死体はモノに過ぎない、人が生きるのは細胞の力に過ぎない、
しかし自殺したら下等な細胞どもに憐れまれる、それはプライドが許しませんでした。
DVのシェルターを作ったのも、寺の宣伝にもなるし、逃げてきた女たちを
安く雇えるだろうという計算で始めたことでした。

運命を裏切れるような死、神や仏が完璧に嘘っぱちと証明できる死、
それが朔也の望んだ死に方でした。
倖世に出会って、人を愛したことはなく、好きでもない男を受け入れては
暴力を振るわれていたと告白した、人生を嫌い、何かを変える気持ちもない、
だらしない家庭に育った、経歴もさえない女性。
そんな女性と、仏様の生まれ変わりとまで言われている自分が結婚し、
殺されるという筋書きが、朔也はとても気に入りました。

生まれて初めて人を愛した妻に、自分を殺すよう何度も言い聞かせ、
「わたしの願いを聞き届ける者が、私の本当の妻だ」と言い、
いろいろな手段で脅します。



人物紹介だけですが、こんなにも長くなってしまいました!
そんなに記憶力が良くないので、本を見ながら書きました。

明日からシュウトメちゃんが帰宅するので、その2が書ける日はいつになるやら?

登場人物だけ書いたブログなんか全然面白くなかったかも?
またあらすじを書きますので、よかったら読んでくださいね。

重~い小説ですが、引き込まれて読みました。
静人は心を病んで、普通の生活を送れなくなって、悼む旅に出ました。
冥福を祈るたびではなく、その人の無念を思う旅ではなく、
亡くなった方が生きているときに、誰を愛して、誰から愛されて、
どんなことで感謝されたかを思い、悼むことを続ける旅。
それこそが、その人が生きた証であり、価値であると思うから。

パソコンの前で、長い時間が経ちました。
お休みなさい~。(爆)

            
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