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2014年11月11日

        

わがまま言っちゃいかんな、とシュウトメちゃん

category - 日記
2014/ 11/ 11
                 
今朝のシュウトメちゃん、少し荒れていました。
洗面所へ行き来するのが、段差のせいで不便です。

段差解消用のスロープはつけてありますし、
1センチ弱の段差ですが、スロープを車椅子で自力で上がるのには、
腕の力が必要になります。

正面を向いて上がるよりも、後ろ向きで上がったほうが、
少ない腕の力で済むのですが、それでも今のシュウトメちゃんには大変。
洗面所で手を洗うくらいで人を呼ぶのもストレスということで、
手を洗うだけなのにこんなに大変な思いをしなくてはできない・・!と
ストレスで苦しくなったのでありました。

こういう状況に慣れてきた薄情なヨメ、koalaは、
「大変だから、リフォームして便利にしてもらいましょうね~」と
スルーしようとしたので、これがまた癇に障ったようです。



「さっさと直してくれればいいじゃないか!」
「え?でも、タンスをどうするかとか、南側を壁にするかどうかとか、
全然決まっていないから、見積もりも頼めないじゃないですか・・・」

「そんなこと年寄りにはわからん!そっちで話し合って、
わしが困らんようにしてくれと言ったじゃないか。」
「…それは聞いてないよ、おばあちゃん。」

聞いていたら忘れるはずのないことです。

「それなら、古いタンスは捨てていいの?
南側の引き戸、壁にしたら暗くなると困るって言ってたけど、壁にする?」
「だから、そういうことは大工と話し合って、
一番いいようにしてくれればいいじゃないか」



「正月はな、koalaさんは泊まってほしくないみたいだけど、
わしは毎日送り迎えしてもらうより泊まる方がいい。」
「泊まってほしくないっていうより、今年のお正月みたいに、
寒冷蕁麻疹が出ると辛いですよって言ったんですよ。
一番寒い時間は施設でゆっくり寝てたら蕁麻疹が出にくいですよって。
「出るとは限らんから家に泊まる」
「それなら泊まるといいですよ」



「わしはもう落ち着きたいよ。
ごちゃごちゃごちゃごちゃはもうたくさんだ。」

「落ち着くっていうのはね、言いにくいけど老人ホームですよ。
今のおばあちゃんのお気に入りの施設は、老人ホームじゃないから
時々家に帰らなくちゃいけないし、それで環境が変わるから、
ごちゃごちゃしてるように感じるんですよ。
でも、あの施設にいたくて、家にも帰りたいのだったら、
そのたびに多少ごちゃごちゃしちゃうんですよ。」

ここまでの会話に少々うんざりしていた私でしたが、
途方に暮れたような顔のシュウトメちゃんを見て、
自分の衰えについていけなくなってとまどっている、
シュウトメちゃんの心の揺れがいとおしくなりました。

(大丈夫だよ、おばあちゃんは自分が思っているより強いんだよ。)

心の中でエールを送りながら言いました。


「お正月にはちょっと間に合いませんけどね、

春に帰ってきた時は、こんなに困らないようにリフォームしておきますね。」





「昨日はねぇ、デイサービスのSに行ったから、

ついでに横の老人ホームに入っている○○さんに会いに行ったんだよ」


Sという施設は同じ経営の老人ホームとデイサービスが隣り合っています。

○○さんは、もとご近所に住んでいたおばあさんです。


「わしが行ったら喜んでくれたよ。

あの人は、娘さんが3人いるんだが、誰も面倒見てくれないらしくて、

おじいさんが死んだあと、ホームに入ったんだ。」


誰も面倒見てくれないのか、面倒をかけたくないと思ったのかわかりませんが、

余計なことはもちろん言わずに黙って聞いていました。

シュウトメちゃんの娘さん2人は、会いにも来てくれないのですが、

きっとそのおばあさんに自分を重ねて、娘が面倒を見てくれないのは、

決して自分だけじゃないという慰めになっているのでしょう。


そのおばあさんの近況を語った後、気持ちが落ち着いたようで、

「わがまま言っちゃいかんな」とぽつりと言いました。






なるようになっていくのだから、目の前のことだけ考えて、

こっちが楽しいかなという道を選んでね、と思ったけれど、

それはちょっと言えずに、シュウトメちゃんの話を聞いていました。


シュウトメちゃんが脳溢血の後遺症で、

左側の手足が完全麻痺になってから33年です。

疲れたよね。


ヒステリー起こさなくなったシュウトメちゃんだから、

わがまま言ってもいいんですよ。

叶えてあげられそうなわがままだけしか叶わないだけで、

自分は本当はこうしたいんだという気持を表明することは、

封印することじゃなくて、どんどん表明した方がいい・・・

そうも思ったのですが、口にできませんでした。



            
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