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2014年05月24日

        

多発性硬化症(MS)で亡くなった雪絵ちゃんの「幸せ気分」

category - 日記
2014/ 05/ 24
                 
(ゆきえちゃんの字を「雪江」と勘違いして描いた部分を訂正しました。
正しくは「雪絵ちゃん」です。失礼しました。)

この文章を書いた笹田雪絵ちゃんは、もうこの世にはいません。
多発性硬化症(MS)という病気で闘病生活を送っていました。
時間が経つにつれ、目が見えなくなったり、体が動かなくなる病気だそうです。
彼女のことはネットで知りました。 

彼女の書いたブログ「すのうレター」の「幸せ気分」より、

少し転載させていただきます。
(読みやすいように、勝手に行替えをしたり空間を開けたりしました。)

    ありがとう

この目が物をうつさなくなったら目に、
そしてこの足が動かなくなったら、足に
「ありがとう」って言おうって決めているの。

今までみえにくい目が一生懸命見よう、見ようとしてくれて、
私を喜ばせてくれたんだもん。
いっぱいいろんな物素敵な物見せてくれた。
夜の道も暗いのにがんばってくれた。

足もそう。私のために信じられないほど歩いてくれた。
一緒にいっぱいいろんなところへ行った。
私を一日でも長く、喜ばせようとして

目も足もがんばってくれた。
なのに、見えなくなったり、歩けなくなったとき
「なんでよー」なんて言ってはあんまりだと思う。
今まで弱い弱い目、足がどれだけ私を強く強くしてくれたか。
だからちゃんと「ありがとう」って言うの。

大好きな目、足だからこんなに弱いけど大好きだから
「ありがとう。もういいよ。休もうね」って言ってあげるの。
多分誰よりもうーんと疲れていると思うので・・・。
(後略)

   敵でないの 

        (前略)
MSだけど自分を愛していきたい、
MSの雪絵をまるごと大好きでいたい・・というような事を言ったとき、
即、MSと仲良くしてはだめ、MSは敵だよって言われました。

でも私はMSと仲良くするし、私にとっては敵ではなく味方なのです。
うまく説明できないけれど、私は決してMSに負けないし、
負けたくないし、負けるわけがない。

でもね、MSは私のために一生懸命がんばってくれてます。
元気でいようとしてくれるけど、時々暴れてしまいます。
でもその時も一緒によくなろうとがんばってくれてます。

だから私にとって、敵ではないのです。

MSの悪口を言われたとき、ちょっと悲しかった。
病気になる事が好きなわけではない。けど、けど・・・
友達にもうまく言えなかったけど敵ではないの。


         身代わりシステム

代われるものなら代わってあげたいなんて言われることあるけれど、
世の中そういうシステムがなくて良かったと思います。
だってもし私が誰かと代われるとしたら、
誰にこの病気あげていいか分からないもん。

たとえ犬にあげたとしても、その犬が今の私と同じようにしてると思うと
どうしていいか分からず、その犬を一生抱っこしてあげなければ気がすまない。

かといってアリにあげたとしてもやっぱり嫌。
物語に出てくる働き者のアリだからしんどくてもきっと働くのだと思うのです。
そんなの見てられない。毎日どうしてるかなって気になってしまう。
私が毎日アリに砂糖を運んであげたい。

ということで、この病気は誰にもあげられないのです。
あげてもいいのにあげられないのもくやしいので、
そういうシステムがないのには感謝してます。

でも母に、もし目が見えなくなったら片目くれる?って聞くと
喜んで「あげる」と言います。
私の目はもらったりすることはできないけれど、
それをお互い知っててそう言います。
なんて答えるか知っててそう聞いて、そして期待通りの返事が返ってくると
私はそれだけで充分満足なのです。


誰かが私の代わりに病気をするのはちょっと無理。
この病気は私にしかつとまらないわー。
なんてちょっと大仕事をしているかのような私でした。



         私、これでいいみたい

学校を卒業してとくにする事もなくつまんないなって思ってた時期がありました。
学生の時は学校に行くために、入院した時は病気を治すためにがんばってたけど、
今は何をがんばればいいんだろうって。
その時、自分のことを聞くのは嫌だったので、
お年寄りの方を自分に置き換えて母に聞いたのです。

どうして寝たきりのおばあちゃんのために皆がんばるのか?
特に役に立つ事しないし、お世話も大変なのにと。
これは本心で言ったのではなく、自分でも言いながら、
なんて残酷なこと言うんだろうと思いながら。

でも役に立たないし、世話が大変というのは実は自分のことだったのです。
家にいても特に役に立っているわけでもないし、
そしたら母の返事は「おばあちゃんはどうして年をとったか知ってる?」と言いました。

子どもを一生懸命育てて、心配もたくさんたくさんしてきたのです。
どんなに偉い人でも子どもの頃はあったのだし、その子を育てたのは親です。
それを時には一人ぐらしの老人がいたり、老人ホームに入れられたり・・
でもそれには仕方のない理由がきっとあるのです。
それもわかっているのだけど、もし、役に立たないからという理由で
子どもが立派になったらはい、さよならでは、ひどい話です。

自分を育ててくれた親だから、いっぱい心配してくれて、一生懸命働いて、
ご飯作って・・・・。大切にしてあげるのは当然の事だと母は言いました。

その後、私ってなんてひどい事聞いたんだろう。
役に立たないなんてと思いました。
でもその日からお年寄りの方がとてもかっこうよく見えてきました。
でも私が、聞きたかったのは自分の事です。

私は親としてがんばった後の人生ではないから、
ちょっと聞きたい事と返事が違っていたけれど、
いいこと聞いちゃったって感じです。
こういうこと知らない人に教えてあげられたらと思いました。

でもどうしてもやっぱり自分の存在が知りたくて、
別の日にまた母に私がいなくなったら楽かな?って聞いたのです。
そしたら、母は楽かもしれないし、それは分からない、
いなかったらいない生活があるし、いればいる生活だし。

でももしお母さんと雪絵が逆だったらどうする?
いなくなればいいと思う?って言いました。
私ははっとしました。またまたばかな事を聞いてしまったと。

もし、逆だったら、毎日寝てても泣いていてもわがままばかり言ってても、
役にたたなくても、きっと・・・ううん絶対、誰よりも愛すると思う。
大切にすると思う。大好きでいると思う。

こんな私だけど いいみたい。



      今、必要だから


友達とおばあちゃんの事で、けんかをしました。友達の仕事は看護婦です。
友達の勤めている病院に、80歳くらいのおばあちゃんが入院してきて、
100万円の人工骨を入れるという手術をしたのです。
足の骨折を治すための手術です。友達はあと何年生きられるか分からないし、
せっかく100万円もしたのに、リハビリもあまりせずにもったいない。
それならその100万円を別の病気の研究に使えばいいのにと言うのです。
          (中略)
本当は友達の言っていることも分かるのです。
でもずーっと先のことを考えるより、明日必要だから100万円という
高額の手術をしたっていいじゃないって思うのです。

私もそうなの。目が見えなくなったら、漢字も字も必要なくなる。
でもね。今日、明日と字はまだ私に必要なのです。
たとえ、一週間後、必要なくなるとしても、その間必要なの。

それを分かってて、私漢字検定を受けました。
どうも私は漢字が苦手で、おまけに字もすごく汚いし。

そこで、検定を受ければ、覚えるしいいかなと思い、受けました。
それと同時に汚い字もなんとかしたいと思い、習字も習いました。
いつか必要なくなる字、漢字。だけど、今必要だったので習ったの。

でも習うとき、ちょっと考えてしまいました。やっぱり無駄かなって。
でもたとえ、明日いらなくなったとしてもいいやと思い、習いました。
おかげで漢字も覚えたし、字も習っているときは気をつけて書くようになり、
今年の年賀状は格好良く書いて見ようかしら・・なんて調子でした。

でも習って、4ヶ月ほどで目が見えなくなり入院。
退院するときには入院前と比べると視力は落ちてしまったので、
習字は続けられなくなりました。でもね。結構これが私の自慢なのです。
すぐやめることになったけど、「私やったよ」って


         スリル満点

私の人生にはタイトルがついています。「人生真剣に生きない」
サブタイトルは「善は急げ」です。

ずっとずっと病気のいいなりの人生を送っていたような気がするのです。
学校卒業後も行きたい学校をあきらめ、その後習いたいと思ってたことも
入院のため期間をずらしたり、今日は病院へ行く日だからと用事を断ったり。

でもある時からそういうのはやめようと思ったのです。
私の人生であって、MSの人生ではないのだから。
たとえ無理して出す助けてあぶないぞーという調子も気かず行動して、
それがきっかけで入院する事になってもそれはそれでいいと思います。

自分のサイコロは自分でふる。そう決めたのです。
スゴロクでもあるでしょう。一回休みとか。そうなってもいい。
一回休みでも振り出しに戻るでもいい。自分でサイコロをふるいたい。
MSにふらせない。

でももしかしたら、○○まですすめとかすごいチャンスだってあるかもしれない。
だから真剣にやりたい事どうしようって迷ったらだめ。
MSに先をこされてしまう。

いいな、やってみたいな、行ってみたいなと思ったらすぐ飛びつく。
          (後略)


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なんて素晴らしい、成熟した魂のお嬢さんなのだろうと
どの文章を読んでも、心が震えました。


>今まで弱い弱い目、足がどれだけ私を強く強くしてくれたか。
だからちゃんと「ありがとう」って言うの。

>私はMSと仲良くするし、私にとっては敵ではなく味方なのです。

>ということで、この病気は誰にもあげられないのです。
あげてもいいのにあげられないのもくやしいので、

そういうシステムがないのには感謝してます。


こんなことが書けるお嬢さんがどれくらいいるでしょうか。
深い、深い敬意とともに、読ませていただきました。合掌。

            
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