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2013年03月05日

        

レミゼラブル感想 その3 ジャベールには生きていて欲しかった

category - 日記
2013/ 03/ 05
                 
とても残念なのは、警部ジャベールの自殺です。
今から書くのは、私の想像なので、同じ映画を見た方でも、
それぞれ解釈が違うと思います。
他の人の解釈も読んでみたいな~。
しかし、少しネットサーフィンもしたのですが、
皆さん、あまりジャベールに入れ込まないみたいで少ないの。
残念。(笑)
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誤った信念で突き進んできた自分を受け入れて、
今までの信念に疑問を持ったゆえにジャンバルジャンを見逃した
揺れている自分を受け入れて、先に進んで欲しかったです。
ジャベール警部は正義と信念の人でした。
そしてとにかくジャンバルジャンを執拗に追いかけるのです。
罪を犯した人間はその罪を償うべきだからというのですが、
殺人や強盗ならともかく、19年前のパン1個の窃盗です。
それも妹の子が餓えて死にそうだったと言っているんです。
正義のためなら、他にもっと大事な仕事があるはずですが、
罪の重さや、犯罪を犯した事情は関係なく、
罪を犯す人間を取り締まるのだという執念に凝り固まっています。
しかし、本当にそうなのかな?と、今は少し疑問に思っているところ。
あの執拗さは異常で、正義感の一言で片付けられない気がします。
ジャベールは、ジャンバルジャンが気になってたまらなかったのです。
それは、自分が必死で封印したものを、シャンバルジャンが
隠しもせずに体現していたからじゃないかという気がしています。
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ジャンバルジャンを執拗に追いかける警部ジャベール。
彼は革命を起こそうと集まっている学生たちを騙すため、
仲間の顔をして入り込んで見破られ、捕らえられていました。
そこにジャンバルジャンが現れます。
最初に現れた時は学生たちに疑われるジャンバルジャンでしたが、
学生を狙う狙撃主を見つけて、学生たちを守ったため、
ジャベールの始末を任せてもらえることになりました。
ジャベールは当然ジャンバルジャンが自分を殺すと思いました。
刑務所では人間扱いせず、ひどい仕打ちをしていました。
その後も執拗に追いかけ、逮捕しようとしていたのですから、
自分を恨んでいるだろうし、逃げるために自分を殺すことは
願ってもないことのはず、と確信していました。
19年前にパンを1個盗み、脱獄を企てて合計19年服役、
仮釈放の途中で逃げ出して、その後も長い年月が経っています。
コゼットを引き取り、大切に育てて、幸せに暮らしています。
ジャベールにつかまれば、また刑務所に送られ、
大切なコゼットはショックと恥辱を受けることになります。
ジャベールを殺してしまえば、ジャンバルジャンは安全です。
しかし、ジャンバルジャンは、殺さない、
そして、恨んでもいないと言いました。
警部は犯罪者をつかまえるのが仕事だから、とまで言います。
逃がしてやると言うのです。
取引か?とジャベールは勘ぐります。
お互いに助け合おうということか?と解釈するのです。
自分は正義を行う人間なので、取引は出来ないと。
しかし、ジャンバルジャンは、取引ではないと言います。
これはジャベールには理解できないことでした。
人間は正しい人間とそうでない屑のような人間のどちらかで、
ジャンバルジャンは犯罪者なので、屑なんです。
その屑が自分を許し、逃がすという・・・。
ジャベールの心は激しく混乱します。
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学生たちの革命も、ジャベールには茶番でした。
勝ち目のない愚かな犬死に見えたはずでした。
きれいに並べられた死体の中には、ジャベールを警部と見破った
幼い勇敢な少年、ガブローシュもいました。
ジャベールは自分の勲章を取り、ガブローシュの遺体につけました。
それまでのジャベールにはありえない行動でした。
革命を起こすなどというのは罪なのですから、
罪を犯す人間など、死ねばいいのです。
でも、この時のジャベールには、心の痛みがあり、
勇敢に死んでいった浮浪者の少年への敬意がありました。
ジャベールの封印したものは、こういう反応を起こす感情、
人間味、理屈を越えた情愛、そういうものだったのではと感じました。
それを体現しているジャンバルジャンが、気になって仕方ないから、
そんなものは持っていない、そんなものに惑わされたりしない、
自分は神の前に正しい、正義を行う人間だと胸を張ってきたジャベール。
ジャンバルジャンは、娘のように育ててきたコゼットの恋人、
マリウスが大怪我しているのを背負って連れ出します。
ジャベールは彼を見つけてつかまえようとしますが、
大怪我をしている背中の学生を助けたいのだ、
その後でつかまえてくれ、と懇願するジャンバルジャンに
やはり心が揺らいで、結局つかまえることはしませんでした。
自分は正しい道を歩いている!と胸を張ってきたジャベールは、
逆に人一倍、情愛の深い人だったのかもしれません。
その情愛を否定し、閉じ込めるためには、
ものすごいエネルギーとよろいが必要だったのだと思います。
正義という名前のよろいをまとったジャベールの中の
温かい、人間味のある心を、ジャンバルジャンの存在が目覚めさせたけれど、
よろいを捨てることに耐えきれないと感じたので、
ジャベールは、セーヌ川に身を投げたのではないかと思います。
自殺はキリスト教で最大の罪とされるのに・・・。
いえ、むしろ最大の罪とされているので、自殺したのかもしれません。

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ジャベールは刑務所で生まれたということです。
詳しくわかりませんが、親が犯罪者だったわけです。
妹の子供にパン1個買ってやれなかったジャンバルジャンと、
刑務所内で生まれたジャベールは、共に最下層の人間です。
神の道に背く犯罪者の子として生まれた彼は、
必死で自分の出生のグループに属さないように頑張ったのでしょう。
正しい道を、正義の道を、神の教えに沿った道を歩くのだと。
その道を踏みはずせば、親と同じ地獄の道を歩くグループに属してしまうのです。
根拠はないけれど、彼は親を許していないと感じました。
あれほどまでに「自分は正しい」と繰り返すその心には、
「あんな親とは違う」と言いたい、傷ついた子供時代があり、
親と同じレベルに落ちることの恐怖もあったような気がします。
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自分は正義を行っているんだという確信が、1度揺らいでしまうと、
もう元に戻れないのがジャベールにはわかったのでしょう。
自分はもう、確信を持って犯罪者を逮捕することが出来ないし、
犯罪の裏の事情を知ったら、情けを持ってしまうかもしれない。
ジャンバルジャンを追い続けた自分の人生が
虚しくなったことも、もう彼を捕らえたくなくなったのも、
自殺の理由として大きいのかもしれません。
でも、責任感の強い警部だったジャベールは、
間違いかもしれないと思いつつ、職務を遂行するなどという
不誠実な生き方を選ぶことは自分に許せなくて、
どうやって生きていったらいいのか、わからなってしまって、
自殺してしまったのではないかと思いました。
人間的な心を持った人が警部でいることが困難だった時代。
それでも生きていて欲しかったです。
マニアックな?感想文を読んでいただいた、奇特な皆様、
心からありがとうございました。(笑)
            
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